建設業の深刻な労災隠し
ここでは建設業の労災保険について話していきます。
建設業は実際の工事を請けた会社がその専門の下請け業者に仕事を依頼することが多いです。
例えばあるビルの建設を請け負った会社がA事業所に内装を、B事業者に足場を、C事業者に設備工事をといった具合です。
この場合にビルの建設を請け負った会社を元請け会社といいます。
実際に労災事故が起きた場合にはこの元請け会社の労災を使うことになります。
これはA事業所の工事中でも、B事業所の工事中であっても元請け会社の労災を使うことになります。
しかし元請け会社は大きな建設会社が多く、労災事故の少ないことを売りしているところも少なくありません。
事故が起きたところで労災を使いたくはないのです。
更に下請け業者の方も労災事故が起きたと知れたら元請け会社から仕事をまわしてもらえなくなるかもしれません。
そういうわけで労災が起きたことを隠す労災隠しが起こってしまうのです。
例えば、病院に行った時に業務上ではなかったように説明したり、自分の会社の労災番号を使って労災の申請をしたりなどということが考えられます。
これらは虚像の申告にもなりますので、両方とも法律違反となります。
しかし、そうはいっても下請け業者は元請け会社に対して立場が弱いこともあるので元請け会社の労災を使ってもらうということはなかなか難しいのかもしれません。
元請け会社が下請け業者に仕事を依頼する際にも労災保険に入っていることが条件になったりもします。
これは暗に労災が起こったら自社の労災を使いなさいということでもあるのでしょうか。
法律は本来は労働者のためのものであるのにこれではなんのための法律なのかわかりません。